「あー寒い寒い はいただいま」
「銀ちゃんおかえりなさい!もうまちくたびれたネ!」
「あー悪い、仕事長引いたんだ。聖なる日だかなんだかしらねーがみんな浮かれ過ぎだっての。赤い服が目に痛いぜ。あ、赤い服といえば、さっき誰かきたのか?」
「誰もきてないですよ」
「ずっと私たち二人と定春だけアル!」
「おかしいな〜、確かに赤い服きた小太りで白髭のおっさんがうちの階段おりていくの、銀さん見たんだけどな〜」
「赤い服きた小太りのおっさん?銀ちゃん錯覚じゃ…」

神楽はそこまでいうと、はっと目を輝かせ、玄関へ駆けていった。銀時が神楽に見えないように手を振り、新八は笑って彼女を見送る。

「それにしてもずいぶん時間かかりましたね。あんまり遅いからどっかで一杯ひっかけてきてるのかと思いましたよ」
「ばっかおめー、俺がアイツのためにいくつのおもちゃ屋と本屋をはしごしたと思ってんだ。父親たちの戦場だぞ戦場!いや、墓場かもしれねーな」
「…それにしては顔が赤い気がするんですけど」
「これはあれだこんな寒い日には一杯くらい飲んで体あたためないと死ぬから仕方なく」
「飲んでるじゃねーかアアア!大体あんた何ですかさっきの『赤い服きた小太りで白髭のおっさん』って。もっといい表現あるでしょうが」
「うるせーな。一番的確な表現じゃねーかァ。そんなに文句言うなら銀さん拗ねて出て行っちゃうぞ!腹へって死にそうなんだからな」
「はいはい、わかりましたよ。僕も神楽ちゃんもお腹ぺこぺこです。はやく食べましょ」
「銀ちゃーん新八ぃー!」

神楽が走って部屋へ帰ってくる。手にはすでにびりびりに開封された箱を持っていた。

「おー、お前その箱どうした?」
「赤い服きた小太りで白髭のおっさんってきっとサンタだったアルよ!だってほらこれ!プレゼント!」
「おお〜まじでか!あいつが噂のサンタだったのか」
「よかったね神楽ちゃん」
「うん!でもちょっとおかしいのヨ。私『女性エイト増刊号』を頼んだのだけど『女性の品格』が入ってるネ」

神楽が自らの腕の中のプレゼントを考え込むように見つめる。新八は笑顔のまま銀時の足を踏みつけた。

「いっ……神楽ァ、それはお前…サンタさんがなあ、『うん、神楽ちゃんにはそっちの方が似合うゾ』って思ったんじゃねーか?うんきっとそうだ。お前にかわいい女の子に育ってほしいんだよ。これはミステイクじゃねーぞ、あえてだ。あえてその選択だ」
「なるほど…サンタも色々と考えてるアルな…」

神楽は頷きながらじいっとプレゼントをのぞきこむ。女性の品格、の隣には、ウサギのぬいぐるみ。子どもっぽい、ととめたのになあ、と思いながらも新八はつい微笑んでしまう。

「そういえば、もうひとつプレゼントおいてあったネ!眼鏡の絵かいてあったから、きっと新八用アル!」

微笑みを崩し唖然とした顔をした新八が銀時を見ると、にやりと挑戦的に笑っている。大人はずるい、と思いながらも新八はオドロキと喜びを隠せない。
神楽は先程シャンパンを流した窓にむかい、嬉しそうに叫んだ。サンタさんありがとー!おいおい近所迷惑だっつーの、銀時は笑う。いまだに手のつけられていない食事が出番を待ちわびている。





(きらきら)
万事屋
2007.12.24
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いつまでこどもでいれるかはわからないけれど、万事屋サンタクロースは2人分プレゼント用意すると思う
そして新八はサンタさんにマフラーかなんかのお礼すればいいと思います
みなさんよいクリスマスを!